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紙の声が

聞こえたら、

お入りよ。

その先の灯、

いま整えて

おりますゆえ。

魚と本と江戸の匂い

  • 執筆者の写真: 庵主
    庵主
  • 2025年11月23日
  • 読了時間: 2分

更新日:2025年11月28日

— 俺観庵主、探し物の旅をふり返る


古書店というのは、不思議なものでしてね。軒先に棚がひとつ置いてあれば、それだけで“旅”が始まるんです。


あたしぁ五年ばかり、魚、すし、江戸——この三つの匂いを追いかけて、棚の上下左右を速写するように眺め、背表紙が呼んでくれば手に取り、目次をまるで市場の品書きみたいに流し読みし、自分の探し物が潜んでいれば連れて帰る。そんなことを、飽きもせず繰り返してきました。


はじめは、魚の歳時記に答えがあると思い込んでいたもんです。季節ごとに変わる“魚の顔”を見れば、その裏に文化の源流があるだろうと。ところが、読み進めるうちに視点はいつしか料理や食べ物の歳時へと移り、さらにその奥で、「食べるという行為は、季節と組んず解れつの“デュオ”なんだ」という当たり前の事実に、ようやく気づくわけです。


いやぁ、なんとも遠回りでした。けれど、この遠回りこそがよかった。市場の朝に漂う潮の香りと、古書店のページに染み込んだ紙の匂いとが、どこかで一本の道につながっていた。それを実感した瞬間、「魚と本と江戸の匂い」は、あたしの中でひとつの物語になったのです。


今日もまた、どこかの棚の影に新しい“答え”が眠っているかもしれません。その気配を追いかけるのが、俺観庵主のしごとであり、たのしみであります。



すしの魚 河井智康 著 平凡社

おさかな談義 三浦定之助 博品社

魚の手帖 望月賢二 監修 小学館

One fish two fish red fish blue fish by Dr. Seuss RANDOM HOUSE

江戸の料理史 料理本と料理文化 原田信男 著 中公新書

たべもの江戸史 永山久夫 著 旺文社文庫

江戸の夕栄 鹿島萬兵衞 中公文庫

江戸たべもの歳時記 浜田義一郎 中公文庫

料理祭時期 辰巳浜子 中公文庫

私の食物誌 吉田健一 中公文庫

 
 
 

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