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紙の声が

聞こえたら、

お入りよ。

その先の灯、

いま整えて

おりますゆえ。

庵主

庵主

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プロフィール

登録日: 2025年11月21日

記事 (2)

2025年11月29日1
『築地場外散見記(Tsukiji Jogai Sankenki)』という一冊の、うしろ側
庵主でございます。 ご存じのとおり、わたくしどもの本家本元は『FAVORITE FISH: OURS AND YOURS』という、魚食普及をひとつの願いに据えた “大きな本丸” でございます。 ところが——本丸をつくるその途中で、どうにも切り離せぬ「寄り道」が生まれましてな。築地場外を、ただ歩くだけの朝がありました。氷の白さ、湯気の高さ、仕込みを終えた手の温度。季節の気配を運ぶのは魚なのか、はたまた季節のほうが魚を連れてくるのか——そんな思案にふと立ち止まるような、静かな瞬間ばかりが、ポケットに溜まっていったのでございます。 やがてそれらの “散見の断片” は、まるで別冊を望むかのように膨らみ、『築地場外散見記』という、ひとつの写真集になりました。 本家が “語る” ための書なら、こちらは “歩きながら気づく” ための書。魚食という営みが、歳時の流れを背負いながら我々の台所へ向かってくる、その途中の景色を拾い集めた――そんな、控えめながらも確かな裏ばなしでございます。 どうぞ、この一冊もまた、季節と魚と人のあいだに流れる“気配”を、そっと味わうようにめくっていただければ幸いです。...

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2025年11月22日2
魚と本と江戸の匂い
— 俺観庵主、探し物の旅をふり返る 古書店というのは、不思議なものでしてね。軒先に棚がひとつ置いてあれば、それだけで“旅”が始まるんです。 あたしぁ五年ばかり、魚、すし、江戸——この三つの匂いを追いかけて、棚の上下左右を速写するように眺め、背表紙が呼んでくれば手に取り、目次をまるで市場の品書きみたいに流し読みし、自分の探し物が潜んでいれば連れて帰る。そんなことを、飽きもせず繰り返してきました。 はじめは、魚の歳時記に答えがあると思い込んでいたもんです。季節ごとに変わる“魚の顔”を見れば、その裏に文化の源流があるだろうと。ところが、読み進めるうちに視点はいつしか料理や食べ物の歳時へと移り、さらにその奥で、「食べるという行為は、季節と組んず解れつの“デュオ”なんだ」という当たり前の事実に、ようやく気づくわけです。 いやぁ、なんとも遠回りでした。けれど、この遠回りこそがよかった。市場の朝に漂う潮の香りと、古書店のページに染み込んだ紙の匂いとが、どこかで一本の道につながっていた。それを実感した瞬間、「魚と本と江戸の匂い」は、あたしの中でひとつの物語になったのです。...

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