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鮮魚大全

  • 執筆者の写真: 庵主
    庵主
  • 2月13日
  • 読了時間: 1分

更新日:2月14日

店主庵主より 数えきれぬ魚のかたちのこと


冷えた床に、白い息。その只中で、魚は思いがけず、あでやかに光る。

寒さに身を締め、黙して語らず——されど、鱗は雄弁。本書は、その一瞬を拾い集めた覚え書きである。


魚というもの、色も、かたちも、艶も、置かれる時間と場所で、そっと表情を変える。

同じ魚は、二度と現れぬ。

店主庵主と純基先生、「魚食普及」なる合言葉を胸に、七年、ただ黙々と、魚を見つめ続けた。


豊洲市場では、日本沿岸の鮮魚が、朝の光とともに流れゆく。その流れを支えるのは、現場の人々の眼差しと一瞬の決断。声を張り、手を動かし、迷わず選ぶ。市場とは、覚悟の積み重ねでできている。

築地魚河岸は、姿を変えた。されど、気配は消えぬ。のれんの奥に、包丁の音に、いまも脈打つ記憶がある。


これは、教科書にあらず。分類の表にもあらず。網羅の野心も持たぬ。

ページを繰る心持ちは、市場を歩くのに似ている。

足を止め、引き返し、なぜか気になる魚の前で、しばし立ち尽くす。

順路はない。答えもない。


好きに、巡られよ。

さて——

あなたの、好きな魚は何であろうか。

 
 
 

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