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鮮魚大全『FAVORITE FISH: OURS AND YOURS』
『FAVORITE FISH: OURS AND YOURS(鮮魚大全)』は、魚を通して日本の食文化と市場の現場を記録したビジュアルブックである。
築地魚河岸と豊洲魚市場を舞台に、買い付け、仕分け、梱包、出荷といったGEMBAの仕事、そして季節や地域ごとに異なる鮮魚の表情を丁寧に収集した。
本書は図鑑や教科書ではなく、市場を歩くようにページをめくる構成で、魚の色、質感、名前、背景にある文化を直感的に体験できる。
「魚食普及(GYOSHOKU FUKYU)」という思想のもと、日本の鮮魚が世界へ渡っていく流れと、その背後にある人の営みを可視化する一冊。
あなたの好きな魚は、何ですか。


『築地場外散見記』のうしろ側
鮮魚大全『FAVORITE FISH: OURS AND YOURS』という本丸を築く道すがら、どうにも切り離せぬ「寄り道」が生まれました。
築地場外を、ただ歩くだけの朝。氷の白さ、湯気の高さ、仕込みを終えた手の温度。
季節の気配を運ぶのは魚なのか、それとも季節のほうが魚を連れてくるのか。
そんな思案にふと足が止まる――静かな瞬間ばかりが、いつの間にかポケットに溜まっていったのです。
やがてそれらの散見の断片は、別冊を望むかのように膨らみ、『築地場外散見記』という一冊の写真集になりました。
本家が「語る」ための書であるなら、こちらは「歩きながら気づく」ための書。
魚食普及という願いを胸に、歳時の流れとともに集められた、控えめながらも確かな裏ばなしです。


魚と本と江戸の匂い
古書店というのは不思議なもので、軒先に棚がひとつ置いてあるだけで、それだけで旅が始まる。
魚、本、江戸——その三つの匂いを追いかけ、棚の上下左右を眺め、背表紙に呼ばれれば手に取り、目次を市場の品書きのように流し読む。そんなことを七年ばかり、飽きもせず繰り返してきた。
はじめは魚の歳時記に答えがあると思っていたが、やがて料理へ、季節へと視点は移り、「食べることは季節と組んず解れつなのだ」という当たり前の事実に辿り着く。
市場の潮の香りと古書店の紙の匂いが、どこかで一本の道につながっていた。その実感こそが、この探し物の旅の収穫である。
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